第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「そうだよね・・・だから私もここにいるんだ」
ミホークに会って、彼の心を確かめたいと思っていた。
シャンクスもそんな自分の願いを理解し、こうしてクライガナ島に連れてきてくれた。
なのに・・・
「ミホークの顔を見てもまだ、親子の実感を持てなくて一歩踏み出せずにいる」
「何言ってんだ、おめェ。まったく同じ顔してるくせに」
「そんなに似てる?」
「ああ、似てるぞ。特に目がな」
ゾロにもよく言われるが、まさかペローナまでそう言うとは。
ならば、自分が故郷で受け入れられなかった理由もよく分かる。
「本当はね、怖かったんだ。七武海だし、殺されるのを覚悟してた」
「ああ・・・確かにお前がこの城に初めてきた時、殺気立ってたな」
しかし、そのあとすぐに現れたシャンクスの方の印象が強く、ペローナはそのことをすっかりと忘れていた。
最初はクレイオのことを“ゾロよりも使えそうな召使が来た”ぐらいにしか思っていなかったが、こうして一緒に住んでみて思う。
他愛のない話や、お互いの過去をさらけ出すことができる相手がいるのもいいものだ、と。
「私には、おめェがどういう理由でここにいるかなんて興味ねェが・・・」
スリラーバークで育てられたペローナ。
モリアの部下とゾンビ以外は誰もいない海賊船でも、彼女にとっては楽園だった。
でも・・・
友達はいなかった。
「お前がここに来てから、このつまらねェ城も悪くねェかなと思ってたところだ」
自分で言っておきながらちょっと恥ずかしくなったのか、ペローナはそっぽを向き、能力で出したホロウの顔をつついている。
「わ、私だけじゃなくて、ゾロもそう思ってると思うぞ! さっきもウゼェくらいにお前の様子を気にしてたからな」
チキンスープを作ろうとしていたペローナに、ゾロは“そんな消化に悪そうなもんじゃなく粥を作れ”と言って引かなかった。
しかし最終決定権は台所に立つ者にあり、その結果、クレイオの手にはチキンスープがある。