第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「クレイオ」
ゾロはクレイオの頬を自分の方に向け、唇に軽くキスをした。
「鍛錬から戻ってきたら、おれの部屋に来い。お前を膝に乗せてたら、ヤりたくなった」
「ちょっと・・・少し見直していたところだったのに、またそれ?」
「いいじゃねェか、おれはお前に対する欲望を隠すつもりはねェ」
───欲しいものに対しては、貪欲に。
「海賊だからな」
刹那的に今を生きる海賊。
シャンクスやミホークと同様、ゾロも根を下ろすことができない性質なのだろう。
クレイオは小さく溜息を吐くと、先ほどされたようにゾロの頬を手で包み、自分の方へと引き寄せた。
「私は貴方の部屋に行かない」
「あ? じゃあ、今ここでヤるか?」
「それも嫌」
どうせ私が本気で嫌がれば、貴方は何もしてこない。
そうでなければ、私はとっくに犯されている。
「口だけでなく、本当に私を貴方のものにしてみなさいよ、ゾロ」
そう言って、微笑む。
「海賊なら・・・貴方の欲望から救って欲しいという、私の祈りに勝ってみせて」
そしてゾロの頬にキスをした。
「───上等だ・・・」
クレイオを見下ろし、口の端だけを上げて笑う海賊。
その顔は残忍なのに、“攫われてみたい”と思ってしまうような魅力も携えている。
ああ、本当に怖い人だ、貴方は。
きっと今夜も私は貴方の強引さに流されて、部屋に行ってしまうのだろう。
けれど・・・
貴方は私が心を開くまで、決して犯しはしないのだろう。
貴方の欲望は怖いけれど、同時に楽しみでもある。
それに委ねた時、いったい自分がどうなってしまうのか。
「ゾロ・・・貴方と出会ったことを神に感謝したいと、私に思わせてみて」
ゾロにキスを強請るクレイオの顔からは、先ほどの不安そうな表情は消えていた。