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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)




“ドレスローザは至る所に花が咲いていたが、特に目を奪われたのは“ひまわり畑”だった”


クレイオの背中に咲き誇る、ヒマワリの花。


“あんまり綺麗なもんだから、涙が出ちまってなァ・・・父上が見せたかったのはコレだったのかと思ったら余計に・・・”


あれだけはっきりと残っていた天竜人の紋章を消してしまうほど、それは鮮やかで力強い。
ロシナンテ・・・貴方に見せたい。


「ヒマワリの花・・・ロシナンテの髪の色と一緒なのね・・・」


優しい黄色。
太陽に向かって咲くその姿は、まるで貴方の笑顔のよう。


「ホリヨシ・・・こんな時、なんと言ったらいいのかわからないけれど・・・」


背中にロシナンテがいる。
そう思うだけで、胸が幸せな気持ちでいっぱいになる。


「すごく嬉しい・・・これであの人が遠くにいても寂しくない・・・」

「気に入ってもらえたようで・・・良かった」

ホリヨシは安堵したように微笑み、クレイオの頭を優しく撫でた。
彼の娘は頬を上気させながら刺青を見つめている。

「お父さんの絵・・・すごくきれい・・・」

するとホリヨシは、クレイオの背中がよく見えるように娘を抱き上げた。

「覚えておけ・・・ホリヨシの信念が誰かの信念と共鳴した時、人の心を動かす作品が生まれるということを」

ロシナンテを想うクレイオの心に共感し、彼女の信念を守りたいと思った。
それが彼の才能を研ぎ澄ました。


「ありがとう、ホリヨシ・・・貴方は私に自由をくれた」


クレイオはそっと手を胸元に寄せ、何かを取り出した。
そしてそれをホリヨシの手の平に乗せる。

「これは・・・」

手の上で光る、乳白色の珠。
ホリヨシはこれほど美しい宝石を見たことが無かった。

「これは“人魚の涙”と呼ばれる真珠・・・どうか、刺青を彫ってくれたお礼として受け取って欲しい」

本当はお金を渡したいけれど、私は無一文。

“お前はまだ、本当の意味で“自由”になったわけじゃない”

ロシナンテはそう言って、真珠を自分のために使えと言ってくれた。
今がその時だと思う。


「どうか受け取って欲しい。私に自由をくれたそのお礼として・・・」


天竜人が家来を殺してでも欲しがっている、“人魚の涙”。
それが今、ホリヨシの手に渡ろうとしていた。







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