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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)




「軍艦が沈没したという報告が入り、生存者が戻ってくるというので私も駆け付けた」
「・・・・・・・・・」
「安心しろ、ロシナンテ。犠牲者は一人も出ていない。ただ、軍艦を失っただけだ」
「それは・・・良かった・・・」

でも、クレイオは・・・?
見つかってはいないのだろうか。

ここにセンゴクがいるという事は・・・

「だから、安心しろと言っただろう。お前の事も、クレイオの事も、誰にも気づかれてはいない」


無事に生還できた海兵達は本部にこう報告した。


“ロシナンテ中佐は真珠の人魚の所へ向かったきり・・・脱出の間もなく船は沈みました”


遺体は確認していない。
だが、あの状況で脱出も、生存も不可能だと。

それはロシナンテの計画通りの報告だった。


「マリンフォードではなくシャボンディ諸島に来させたのもそのためだ。今さらその顔を見られるわけにはいかんだろう」
「センゴクさん・・・おれ達のためにそこまで・・・」
「とにかくお前は死んだ事になり、クレイオも行方不明となった。おれはこれから天竜人に謝罪をしに行かねばならん」

“真珠の人魚”を失ったんだ、天竜人の激昂ぶりは想像に難くない。
これは腹を括っていかねばならないな、とセンゴクは溜息を吐いた。

「センゴクさん・・・本当に申し訳ありません」

「なぜ謝るんだ」

「海兵として・・・いや、センゴクさんには返せないほどの恩があるのに・・・迷惑をかけてしまって・・・」

「何を言っている」

センゴクは大きな手でロシナンテの頭をポンポンと叩いた。


「おれは言ったはずだぞ。“お前の信じる正義を貫け”、とな」


その“正義”は人それぞれで違う。
海軍の中には、正義の名のもとに罪無き市民を皆殺しにすることを躊躇わない者だっている。

お前の正義は、人間の欲望のために一人の人魚が犠牲になる事を許さなかった。

ただ、それだけのこと。







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