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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)









ザザーン・・・

ザザーン・・・・・・



遠くで打ち寄せる波の音が聞こえる。

ここは・・・どこだろうか・・・

息・・・呼吸ができているのか・・・?



「ロシナンテ・・・」



やわらかな声。
遠い意識の中で聞こえたそれに、頬に涙が流れる感覚を覚えた。

それがとても・・・温かい。



「泣かないで、ロシナンテ・・・」



泣かないで・・・?


“貴方のための真珠なら、私はいくらでも流すことができる”


お前こそ泣かないでくれ・・・

おれは・・・ただ・・・お前が笑顔でいてくれれば、それで・・・


守りたいと願った笑顔を思い出した、その瞬間だった。


「ゲホッ!!」


ロシナンテの口から大量の海水が噴き出る。


「ロシナンテ!!」

「ゲホッ、ゲホッ・・・!」

ものすごく息苦しくて力が・・・入らない・・・

「良かった、気が付いて・・・」
「クレイオ・・・?」

目の前に彼女の顔があるという事実を驚く前に、強い安堵が込み上げてきた。


「クレイオ!! お前・・・無事だったのか!!」


まだ起き上がれないから、変わりに腕を伸ばして彼女の肩を掴む。
するとクレイオは嬉しそうに微笑みながら頷いた。

「私は大丈夫・・・それよりロシナンテ、貴方はどう?」
「おれ・・・? そういえば・・・おれは助かったのか・・・」

首を左右に振って辺りを見回すと、そこは大きな木が茂る島の海岸のようだった。

「ここはどこだ・・・?」
「ごめんなさい」

ロシナンテに膝枕をしていたクレイオは、申し訳なさそうに顔を曇らせながら彼の頬についている泥を拭った。

「貴方はエニエス・ロビーに行くと言っていたけれど・・・私には場所が分からなくて・・・」

「・・・?」

「だから、“声”を目指したの」

「声・・・?」


クレイオの言葉の意味が分からず、ロシナンテが首を傾げたその時だった。
よく知っている声が上から降ってくる。


「無事で何よりだ、ロシナンテ」

「あ・・・!!」


二人のそばで胡坐をかきながら座っていたのは、海軍大将センゴク。
ロシナンテの顔を見るや、ホッとしたように目を細めた。







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