• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)




「来い、クレイオ!」

身体を抱き上げると、不安そうにしがみついてくる。
この愛しい存在を何があっても守らなくては・・・

「他の人は・・・?」
「大丈夫だ、救命艇に乗るように指示してきた」

とはいえ、早くここから出なければ自分達も危うい。
ロシナンテはクレイオを抱きしめたまま、元来た道を戻ろうとした。


が、その時。


ドォン!!!

鼓膜を突き破るほどの爆音がすぐそばで響く。
直後に襲ってきた衝撃で、二人は大きく吹き飛ばされた。

「・・・!!」

まさか・・・ボイラー室に引火したのか・・・?!

頭がそう認識するよりも前に、鉄砲のような速さで水が流れ込んできた。


「クソ・・・ドジった・・・!」


砲弾をぶち込んだ場所は、ボイラー室とそう離れていなかったのか。
もっとしっかりと見取り図を確認しておくべきだった。

船はもうほとんど浮力を失っている。
救命艇までたどり着くのが先か、それとも船と一緒に沈没するのが先か。

もし間に合わないのなら・・・クレイオだけでも・・・


「水が・・・すぐそこまで来てる・・・!」
「ちくしょう、早ェな!!」

クレイオは人魚だ。
外に出て海に放り出しさせすれば、その泳力で安全な所まで逃げることができるはず。

とにかく・・・外だ・・・!!

もはや急斜面となっている廊下を這うようにして登りながら、とにかく甲板を目指す。
しかし、下から迫ってくる浸水はものすごいスピードで二人を追いかけてきていた。

「心配するな、クレイオ!! 必ず外に連れて・・・」

黒煙の向こうに太陽が見える所まで来た、その瞬間だった。

バキバキと嫌な破壊音を立てながら、軍艦がその骨格から崩れていく。
船が耐え切れずに沈もうとしていた。


「ロシナンテ、後ろ!!」


ヒュウッと息をする前に響いた、クレイオの叫び声。

その言葉が届いたと同時に、ロシナンテの身体から一切の力が抜けていった。







/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp