第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)
「おれはただ・・・君のこれまでの生き方を尊敬してやまないんだ。その生き方を・・・最も苦しみの無い形で続けさせたいと思っている」
とても力強くて優しい腕・・・
どうしてこんなに安心できるのだろう。
「クレイオのため・・・そして、過去に存在し、未来に生まれるだろう、君と同じ運命を背負った人魚達のために」
おれには世界と戦う実力も、権力もない。
だけど・・・抗うことぐらいならできる。
「ここを出たら、おれは悪魔の実の能力を発揮する」
ロシナンテが食した、“ナギナギの実”。
それによって、彼は音を完全に遮断することができる。
「おれの影響によって出る音は全て聞こえなくなるから、クレイオや他の奴には船が勝手に火を噴いたように思えるだろう」
「・・・でも、みんなは大丈夫なの?」
「ああ、救命艇があるから大丈夫だ」
乗組員全員が脱出したのを確認してから、クレイオを迎えに来る。
「船が完全に沈没したら、おれ達はエニエス・ロビーに向かう。そこの正義の門の開閉は、海軍の緊急信号を使う」
「エニエス・・・ロビー?」
「ああ。そこからさほど遠くないウォーターセブンを目指そうと思っている」
造船業で有名な島だから、きっと船を手に入れることができるはずだ。
適当な船が見つかったら、自分はその足でドフラミンゴの元へ向かおう。
クレイオはセンゴクが迎えに来てくれることになっている。