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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)




「明日・・・何が起こっても、おれを信じてくれ」

「ロシナンテ・・・?」


何かの覚悟を決めたその瞳はとても真剣で、見ていると怖くなるほどだ。
それでも、頷かずにはいられない。

もとより、クレイオの心にロシナンテを疑う気持ちなど微塵もなかった。


「信じる・・・貴方のする事は全て信じる」


するとロシナンテは目に涙を浮かべながら微笑んだ。
もう二度と、こんな愛おしい時間は訪れないかもしれない。


「ありがとう、クレイオ・・・」


それでも悔いはない。


「約束する。おれは命に代えてもお前を救う、と」


たとえ、運命の女神から祝福されない恋であろうとも。
世界の法に背く事になったとしても。

おれは、おれの正義を貫く。


満天の星空の下、ロシナンテはクレイオに初めてキスをした。
それまで唇に口付ける事だけは避けてきた。

それをしてしまったらもう二度と、彼女を手放す事ができなくなりそうだったからだ。

独占欲が人一倍強く、気に入ったものは何があっても手放さなかった兄。

ドフラミンゴがどのように人を愛するのか、そもそも彼に人を愛する心があるのかは分からないが・・・

そこは兄弟かもしれない。

自分も一度クレイオへの恋心を解放してしまったら最後、彼女に恐怖を与えるほど愛してしまうかもしれない。

そんな自分に怯えるロシナンテはやはり、とても優しい男だった。


「ん・・・」

息が苦しくなったのか、クレイオが微かに喘ぐ。
この行為が求愛と知っているのか分からないが、その頬はバラ色に染まっていた。

「ロシナンテ・・・」

名前を呼ぶその声が愛しくて堪らない。
同時に、絶対に失いたくないと思った。


「クレイオ、今から話す事をよく聞くんだ」

「・・・?」

「明日、お前を救い出すための計画を」


その瞬間、クレイオの瞳にその夜初めて、希望の色が浮かび上がった。








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