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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)






数時間後。
ロシナンテがマリージョアに戻ると、屋敷の入り口で天竜人の執事と鉢合わせをした。

「お戻りですか、ロシナンテ中佐」
「・・・・・・・・・・・・」

この執事がクレイオの件を知らぬはずがない。
無表情だが、どこか疲れた顔をしているロシナンテを見て、意地悪く口の端を上げた。

「明日はクレイオの護送をよろしく頼みますよ」
「・・・一つ聞かせろ・・・なぜ、そこまでする?」
「なぜ? まさか、もう一度初めからクレイオの身の上話をしなければならないのですか?」
「違う!」

思えば、最初からこの執事に対しては良い印象を持っていなかった。
自分も天竜人に仕える人間のくせに、“執事”という立場を権力と履き違えているのか、常に他人を見下している。

「なぜ、性急に事を進めようとするんだ! 時間をかければあるいは・・・もっと穏やかな手段で真珠を手に入れることができたかもしれない」

「ほう、貴方がそう言うのですか?」

執事は薄い唇に冷酷な笑みを浮かべながらロシナンテを見据えた。


「貴方がクレイオに“泣くな”と命令している事、我々が知らないとでもお思いか?」


そう言って黒スーツの胸元から取り出したのは、盗聴用の黒電伝虫。
ロシナンテとクレイオは常に監視されていたということか。

「盗聴とは・・・海軍の信用もあったもんじゃねェな」
「念には念を入れろ、という事です」

ならば、ロシナンテがクレイオにどのような想いを抱いているかも知っているはず。
それなのにあえて護送をロシナンテに任せようというのか。

それは“制裁”の意味も込められているのかもしれない。

「だが、性急に事を進めなくてはならなくなったのも事実」
「どういう事だ?」
「我が主の御成婚式の日取り決まったのです」

天竜人は一夫多妻制が公認されている。
今度が何人目の妻になるのか分からないが、かなりの入れ込みようである事は噂で聞いていた。




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