• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)




いったい、いつからクレイオの事が好きだったのだろう。
自分でも分からないその感情だけど、一つだけ言える事がある。

これは決して、同情を履き違えた感情ではない。
マリージョアという異質な空間にいるから血迷ったわけでもない。

彼女を心から大切に想う、れっきとした愛情だ。

「・・・ロシナンテ」

クレイオは一切の抵抗を見せず、ロシナンテの腕の中に納まっていた。
戸惑っている様子も、困っている様子もない。
ただ静かにロシナンテを見上げていた。


「分かった・・・約束する」


キスされた右頬がとても熱い。
こんなの初めてだ。


「私は泣かない。絶対に」

「・・・・・・・・・・・・」

「ロシナンテが望むなら、私は何があっても涙を流さない」


目の前で大勢の人が殺されようと。
この身体が引き裂かれようと。

私は絶対に涙を流さない。


「だから・・・考え直して欲しい」
「考え直す・・・?」
「ロシナンテ、お願い・・・ドレスローザを守って」

その言葉にロシナンテの瞳が大きく開いた。


「ドフラミンゴからドレスローザを守って」


私なら大丈夫。
貴方と出会う前だって、どんなにつらい目に遭っても涙は一粒も流さなかった。


「私はドレスローザのヒマワリが見たい」


貴方が涙を流すほど美しいと思った、その景色。
ドフラミンゴが王様になったら、見られなくなってしまうかもしれない。

だからお願い。

涙を流してはいけないと言うから、その代わりに笑顔を。
そうする事で貴方が少しでも気持ちがラクになれたらと願う。


「───クレイオ・・・」


月明かりを背に微笑む人魚は、その儚い容姿とは不釣り合いな芯の強さを見せていた。


そんな彼女の想いと願いにどう応えていいのか分からず、それ以上は何も言えなかった夜・・・


悲しい運命が足をしのばせながら、ゆっくりと二人の方へ近づいていた。










/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp