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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)







センゴクを見送ると、ロシナンテは自分が立っている地面に目を落とした。

ここはマリージョア。
ドフラミンゴが父親を殺してでも帰りたかった場所。

運命とは不思議なものだ。

望んでいなくてもロシナンテはマリージョアに戻り、世界で一番美しい真珠を生み出すという人魚と一緒にいる。


「おれは・・・本当にここにいていいのだろうか」


ドンキホーテの血筋の人間として、正義の二文字を背負う海兵として、志願してでもドフラミンゴの悪事を止めるべきではないか。

でも・・・

自分がここを離れたら、クレイオはどうなる?
ようやく取り戻した彼女の笑顔はどうなる?

1人の人魚すら救えていない自分に、いったいどうやって何万ものドレスローザ国民の命を守ろうというんだ。


「・・・・・・・・・」


───違う。


それは綺麗事だ。


「おれができねェのは・・・ドレスローザのためにクレイオを放り出すことの方だ・・・」


センゴクは本当は、自分を迎えにきていたのかもしれない。
天竜人も海軍大将の直々の指令なら、クレイオの任務から外れる事を許しただろう。
それなら、わざわざマリージョアにセンゴク自ら出向いてきたことも納得がいく。


“図体はデカいくせに器が小さい男だな、お前は!”


本当に器が小さい男だ。
ドフラミンゴを止めたいのに、クレイオの事が放っておけない。

ドレスローザに危険が迫っているというのに、自分はこの世界の頂で人魚の世話を続けようとしている。

それが・・・果たして“正義”なのか・・・

分からない・・・


「ちくしょう・・・ッ痛て!!」


ロシナンテは苛立ちのあまり足元の小石を強く蹴飛ばし、その反動で後ろにドサッとひっくり返っていた。









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