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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)






「センゴクさん・・・さっき、クレイオといったい何を話していたんですか?」
「気になるのか?」
「ええ、まあ・・・笑い声が聞こえてきたんで」

食堂から持ってきたパンをかじりながら、センゴクとクレイオに目を向けるロシナンテはどこか不満そうだ。

「なんだ、ヤキモチか? 図体はデカいくせに器が小さい男だな、お前は!」
「なっ! そんなんじゃないですよ!」

顔を真っ赤にしているロシナンテに、センゴクは笑いながら“冗談だ”と言った。

センゴクにしても、まさか2人きりの時にクレイオが笑ってくれるとは思っていなかった。
だが、ロシナンテは本当に彼女の“信頼”を得ているようだ。


「センゴクが、貴方の話をたくさんしてくれた」


クレイオが水槽の向こうから楽し気な笑顔を向けてくる。

「おれの話?」

「うん、ロシナンテが小さかった頃の話。泣き虫だったとか、おねしょの常習犯だったとか」

「わー!!! いったい何をクレイオに教えてるんですか、センゴクさん!!」

「嘘ではないからいいだろう」

まったく、この人は・・・!
豪快だけど適当な性格のガープ中将をよく叱りつけているが、貴方も似たようなものではないか。

ロシナンテはフーッと息を吐いたが、それはドフラミンゴの事を考えている時とは違って浅い溜息。
センゴクのおかげで気が紛れていることに気づかないのは、本人ばかりだった。

「私はそろそろ本部へ戻る。会議を放り出してきてしまっているからな」
「そ、そうだったんですか!! 早く戻ってくださいっ」
「まあまあ、そう焦らすな。茶でも一杯飲んでから・・・」
「ダメです!!」

今頃、海軍本部では大騒ぎになっているかもしれない。
ロシナンテに背中を押されながら外に出たセンゴクは、太陽を見上げて寂しそうに笑った。


「何か進展があれば、お前にまた連絡する」


その“何か”がドフラミンゴの件を指している事は、言われないでも分かる。

「お願いします・・・おれには・・・何もできないかもれないけれど・・・」

「それでもお前は知っておくべきだ」

センゴクはそれ以上は何も言わず、ロシナンテの肩をポンポンと叩くと、迎えに呼んだ馬車に乗り、下界へ降りる運河へと去っていった。









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