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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)







それはこの世に生を享けた瞬間から定められていたのか。
それとも、小さな偶然が折り重なって導かれたのか。

種族の垣根を越えて絡み合おうとしていたはずのロシナンテとクレイオの運命の糸。
ゆっくりと、しかし確実に、それは解れようとしていた。

始まりは、ある男が前触れもなくマリージョアを訪ねてきた事。


「センゴクさん!!」


久しぶりに会う海軍元帥に、ロシナンテは嬉しさと驚きの混じった顔で出迎えた。

「おー、ロシナンテ! しばらくぶりだな」
「いきなりどうしたんです? 連絡を下さればお迎えに上がったのに!」
「はっはっは! なに、海軍本部からここまではすぐだ、それにお前も任務があるだろう」

クレイオが囚われている離れの扉を突然ノックしてきたセンゴクは、いつものように豪快な笑顔を見せながら屋敷の中に入ってきた。
もともと気ままな人だが、連絡もなしに自らマリージョアを訪ねてくるなんて変だとロシナンテは首を傾げた。

「何かあったんですか?」
「まあまあ、話はあとでゆっくりとしようじゃないか」
「・・・・・・・・・・・・」

話・・・?
電伝虫ではダメだったのだろうか。
極秘事項だったとしても、盗聴を妨害できる白電伝虫を使えば良いだけのこと。

ロシナンテが訝しんでいることに気が付いたのか、センゴクははぐらかすように笑いながら二階へと続く階段を見上げた。

「どれ、久しぶりにクレイオの顔を見に行くかな」

定期的に届くロシナンテからの報告書には、最近かなり笑うようになったと書いてあった。

自分が知るクレイオとは、人間を恐れ、全てから心を閉ざした少女。
己を守るため、喜び、苦しみ、悲しみ、全ての感情を殺していた。

しかし、彼女が身体と心の両方に負った深い傷を、この男の優しさが癒していったのだろう。

本来の任務とは真逆の成果のため、ロシナンテはバツが悪そうな顔をしていたが、センゴクは満足そうに目を細めた。







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