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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第8章 真珠の耳飾りの少女(コラソン)






「おはよう、クレイオ。今日もいい天気だなァ」

翌朝、食事を持っていつものようにクレイオの部屋を訪ねたロシナンテは、晴れ晴れとした顔をしていた。

「今日はおれが作ってみたんだ。ちょっとドジって焦がしちまったけど」

茹でた海藻と、焼き過ぎて固くなってしまったハマグリを水槽に浮かべる。
人魚が水面まで上がってくると、ロシナンテはニッと笑いながらピースサインをした。

「あ、そうだ。これからはおれもここで飯を食べることにしたんだ」
「・・・?」
「一人で食うより、二人で食った方が美味いからな」

今までは階下のダイニングルームで食事を取っていたが、別にそうしなければいけないという決まりはない。

ヨイショと言いながらハシゴを降りると、水槽の正面で胡坐をかいた。
そして持ってきた食事を目の前に広げる。

「いただきます」

パンッと両手を合わせたロシナンテを、クレイオは不思議そうに見つめていた。
しかし、大盛りの白米をかき込み始めたのを見て、自分も食事を取ることに決めたらしい。
ちょうどロシナンテの正面にくるよう座ると、自分も海藻を口に入れ始めた。

「そうそう! 一緒に食った方が美味いよな」

相変わらず人魚に表情は無いが、ロシナンテはとても嬉しそうだ。

「それにしても、君は毎日同じものしか食べていないけど、飽きないのか?」
「・・・・・・?」

たとえば、野菜とか果物は食べないんだろうか。
そうだ、今度、アイスクリームでも買ってきてみよう。
知らないだけで、食べたら気に入るかもしれない。


「おれは梅干しに味噌汁、そしてコイツがあれば何倍でも飯を食うことができる!」


そう言って、ロシナンテがメインのおかずをクレイオに見せたその瞬間。


「!!!」


クレイオの表情が変わり、ロシナンテから顔を背けた。
一瞬、何故クレイオがそのような行動を取ったのか分からなかったが、すぐに自分の無神経な行動に気がつく。

ロシナンテがクレイオに見せていたのは、鯛の塩焼きだった。


「ご、ごめん!!!」


魚は人魚の友達だ。
なんてドジなんだ・・・一番やってはいけないことをやってしまうなんて・・・







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