第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
ドフラミンゴとヴァイオレットがベッドを共にする光景に、心臓がチクチクする。
時にはクレイオを夜通し激しく抱いたあとに、ヴァイオレットと甘いセックスをしている日もあった。
いったい何のためにこの記憶を見せているの・・・?
夜伽としての立場は分かっているけれど、これでは私が惨めになるだけ・・・
そう思った時だった。
「どうしてクレイオだけ誘わなかったの?」
どうやら、それはドンキホーテファミリーの幹部メンバーでビーチリゾートを訪れた時の記憶のようだ。
そういえば、南国のビーチに行きたいと駄々をこねたデリンジャーとシュガーのために、ドフラミンゴが幹部達を白い砂浜とエメラルドブルーの海が自慢の夏島に連れていったことがあった。
「あいつは王宮から出さねェよ」
「どうして? クレイオだって喜んだはずよ」
一つの大きなデッキチェアに寄り添いながら座る、ドフラミンゴとヴァイオレット。
傍からは恋人同士にしか見えないだろう。
「ずっと王宮にいたら息が詰まってしまう。この広い空と海を見たら、クレイオもきっと自由を感じることができるでしょ」
「クレイオに自由? それは最も必要のねェものだ」
ドフラミンゴは冷えた白ワインを喉の奥に流し込みながら、忌々しそうに空を見つめた。
「一度自由を知っちまった鳥は、カゴの中に入れておくことができない」
「・・・・・・・・・・・・」
「無理に入れて置こうとすれば、すぐに衰弱して死んでしまう」
「ドフィ・・・」
キャッキャッとシュガーとデリンジャーの嬌声が聞こえる。
能力者達がはしゃぎ過ぎて海に落ちていないことを確認してから、ドフラミンゴは口を開いた。
「クレイオはお前のように処世術を知らない。金の稼ぎ方はおろか、1ベリーの価値も知らねェあの女が、外の世界に出たらどうなる? 翼をもがれた鳥の末路と同じだ」
だから、クレイオを王宮に閉じ込め、外の世界から隔離する。
自由さえ知らなければ、小鳥はカゴの外に出ようとは思わないだろう。