第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
「別に・・・何かを企んでいるわけじゃないわ。ただ、貴方のことをもっと良く知りたいだけ」
「・・・・・・・・・・・・」
「貴方の一族も、私の一族も、このドレスローザを治めていた・・・私達には切っても切れない“縁”がある。ならば、憎み合っていても仕方ないでしょ」
長い髪を官能的にかき上げながら誘うヴァイオレットだが、その心の中は恐怖で埋め尽くされていることがクレイオには痛いほど伝わってくる。
「私のことが信じられないのなら、海楼石の手錠をつけてもよくてよ」
すると、しばらく口を閉ざしていたドフラミンゴが再び笑みを浮かべた。
「そうか・・・なるほどな」
何に対して“なるほど”と納得したのかは分からないが、ドフラミンゴはヴァイオレットを疑うことをやめたようだ。
ゆっくりと玉座から立ち上がると、裸の元王女の前に立つ。
「海楼石は必要ねェ」
「ドフラミンゴ・・・」
「お前の“誘い”に乗ってやろう、ヴァイオレット。おれを楽しませろ」
800年前はドンキホーテ家に仕えていた、リク家。
しかし、ドレスローザを想う心がどちらの方が強いかは一目瞭然だ。
「ええ・・・貴方を退屈させはしないわ」
そして、必ず奪って見せる・・・貴方の“弱点”。
凶悪な現国王からドレスローザを奪還するため、無防備になった貴方の心を盗み見る。
ヴァイオレットはドフラミンゴに抱きかかえられながら、静かに復讐心を燃やしていた。
この時を境として、ドフラミンゴはヴァイオレットの身体を求めるようになり、ヴァイオレットも最高幹部以外では唯一、ドフラミンゴを“ドフィ”と呼ぶことが許される間柄となった。