第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
「・・・ッ!!」
ヴァイオレットとクレイオ。
いずれも男を狂わせるほどの美貌を持つ彼女達にある“共通点”。
それは、ドフラミンゴと“男女の関係”にあるという事だった。
「クレイオか?」
人の気配を感じてドアを振り返ったドフラミンゴは、僅かに開いた隙間からクレイオの姿を確認すると二ヤリと笑った。
ヴァイオレットとの情事を見られたというのに、少しも動揺した様子を見せていない。
「お前もこっちへ来い」
ドフラミンゴが右手の指を動かすと、誰も触れていないのにドアが独りでにスーッと開いた。
「クレイオ・・・」
体中にじっとりと汗をかいているヴァイオレットもクレイオに気が付き、強張った顔を向けてくる。
しかし、クレイオの両足は凍り付いたように動かなかった。
部屋の中に入る?
二人が濃密なセックスをしている、その場所に?
「・・・・・・・・・・・・」
ドフラミンゴとヴァイオレット。
それは、彼とクレイオの関係とは少し違う。
ドフラミンゴは性に奔放な男だ。
ただ、色欲魔の天竜人とは違い、彼が抱く女は意外と限定されている。
例えば、ドンキホーテファミリーの人間。
見た目が10歳のシュガーや61歳のジョーラはともあれ、ベビー5やモネには決して手を出さない。
特にモネはドフラミンゴに特別な想いを抱いているが、その感情を利用して性欲の捌け口にすることは絶対になかった。
もちろん、彼の歓心を買うために国中から集まった若い美女達と悪戯に寝ることはあったが、このドレスローザにおいて彼が本気でセックスを要求するのはたった二人。
それが、ヴァイオレットとクレイオだった。