第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
その夜。
ドフラミンゴのドレスローザ帰還10周年を祝う、賑やかな祭りの音が国中に響いていた。
ドンキホーテファミリーも今宵ばかりは無礼講とばかりに、全員が宴に興じる。
しかし、主役であるはずのドフラミンゴの姿がそこになく、ラオGはクレイオに国王を呼んでくるよう命じた。
「ドフラミンゴ」
細い明かりがドアの隙間から漏れる、国王の寝室。
城中を探し回ったあげく、まさかと思って来てみたが、彼はここにいるようだ。
ノックをしようとした途端、中から聞こえてきた物音にクレイオの手が止まった。
「・・・アァ・・・」
それは切ない女の喘ぎ声だった。
そして、馴染みあるリズムで軋むベッドの音。
「あっ・・・あっ・・・!」
“ごめんなさい、クレイオ”
その喘ぎ声は、ドレスローザを見下ろす丘で、何度もクレイオに謝っていた女性のもの。
「フフフフ・・・・・・」
その笑い声は、これまでクレイオを思うままに抱いてきた男のもの。
城の奥まで届く祭りの喧噪。
ゆっくり、ゆっくりとクレイオの耳から遠ざかっていく。
ドアの隙間から見えるベッドの上で、裸の女性に跨っているのはこの国の王ドフラミンゴ。
「ドフィ・・・ああっ・・・」
「もっと乱れろ・・・ヴァイオレット」
そして、彼の腕に抱かれているのは、失脚した王女ヴァイオレットだった。