• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)




「貴方はどこを見たいの、クレイオ。私の能力が及ぶ範囲なら、代わりに見てあげるわ」

クレイオは一瞬迷ったのか、少しだけ言いずらそうにしながら口を開く。


「───マリージョア・・・」


それは予想もしていなかった場所だったのか、ヴァイオレットは目を丸くした。

「マリージョア・・・? 貴方が生まれた場所を?」

「そこに私の大切な姉妹がいる。今も彼女達が生きているか・・・知りたい」


自分と同じようにして生まれた、美しい奴隷達。
10年前、たまたま自分は天竜人の船に乗ったから、こうして“下界”で生きていられるが、彼女達はきっと今もマリージョアで天竜人の性玩具として生きているはず。

天竜人の美しさの基準を満たし続けていられたら、の話だが・・・


「ヴァイオレットを見ていると、特に私の姉を思い出すの」


少女時代はNo.56と呼ばれていた、クレイオに愛情を教えてくれた人。
黒髪、大きな瞳、赤い唇がヴァイオレットに良く似ていた。


“できるだけ・・・No.217やみんなと一緒にいたい・・・”


そう言っていた彼女は無事だろうか。


もう二度と会えないだろう姉を想い瞳を伏せていると、細い二本の腕がクレイオを包んだ。


「ごめんなさい、クレイオ。私の力ではマリージョアを見ることはできない」


大切な人の無事が確認できない恐ろしさは、ヴァイオレットにもよく分かる。
同時に、現実を知ってしまうことの恐ろしさも。


「本当にごめんなさい・・・」


クレイオに繰り返し謝ったのは、願いを叶えてあげられなかったからだけだろうか。


「ヴァイオレット・・・?」


全てを見通すことができ、この王宮で起こるあらゆる出来事を知っているヴァイオレットは、美しい顔に悲痛の色を浮かべながらクレイオを抱きしめていた。













/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp