第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
「海軍に召集されているの?」
先ほど、電伝虫での会話で確かにそう言っていた。
「貴方に渡すようシュガーから頼まれているんだけど、海軍から手紙が届いているの。同じ用件かしら」
ドフラミンゴはクレイオから海軍の手紙を受け取ると、封を切らずに笑いながら空を見上げた。
「ああ、海軍から召集を受けている。どうやら戦争を押っ始めるつもりらしい」
「戦争・・・?」
「かつてねェほどの戦争だ・・・この世界がひっくり返るほどのな」
「・・・・・・・・・・・・」
七武海として呼ばれるからには、一番危険な戦争の中心に立たされるはず。
なのにドフラミンゴはとても楽しそうだ。
「いったい・・・何が起きているの?」
「白ひげ海賊団2番隊隊長、ポートガス・D・エースの処刑が決まった」
「“火拳”のエースが・・・処刑?」
それが意味すること。
世界最強の海賊として君臨する白ひげは、仲間の死を絶対に許さない。
そのために、海軍がこれまで白ひげ海賊団の人間に手を出すことはなかった。
エースを処刑しようものなら、白ひげは躊躇いなく海軍本部を攻撃するだろう。
そうなったら、七武海と海軍全戦力を足したところで、白ひげ海賊団の力に勝てるとは限らない。
「なぜ、そんなに楽しそうなの・・・?」
「なぜかって? 決まってるだろうが」
新月に向かって欠けていくだけの下弦の月は、不吉なことが起こる前触れ。
だがドフラミンゴは楽しそうにそれを見つめ、クレイオの肩を強く抱いた。
「時代の境目に立てるんだ、これほど面白ェことはない」
22年前、“海賊王”ゴール・D・ロジャーの処刑に居合わせたドフラミンゴ。
そして今、“白ひげ”エドワード・ニューゲートと海軍の全面戦争に立ち会おうとしている。
また時代は大きく変わろうとしている。
今度は何が“正義”となるのだろうか。
海賊か? 海軍か? それとも───