第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
“「海軍本部」ロシナンテ中佐・・・”
生き別れてから14年後、突如として目の前に現れた弟。
“ドンキホーテ海賊団船長ドフラミンゴ”
この世界に残った、唯一の肉親。
壮絶な苦しみを味わったせいで、言葉を話せなくなった・・・と思っていた。
“お前がこの先、生み出す惨劇を止める為・・・潜入していた”
14年間、どこでどういう風に生き延びていたのかなど、どうでも良かった。
自分と同じ経験をした我が弟を“右腕”として、2代目コラソンの名を与えた。
彼を信じた?
いや、違う。
疑っていた。
“おれは「海兵」だ”
疑っていたからこそ、ロシナンテを一番そばに置いていた。
人を信じるには、まずそいつの全てを疑わなければならない。
疑心の種を一つ一つ潰していき、全てを取り除くことができれば、その時こそそいつを信じることができる。
“なぜおれが実の家族を二度も殺さなきゃならないんだ!!!”
それほど信じたかった弟。
実際に自分に銃を向けてくるまで、ローを連れて逃げ出し、“オペオペの実”を奪った行為も裏切りではないという、微かな可能性を心のどこかで期待していた。
「ドフラミンゴ・・・」
クレイオ。
お前を絶対にカゴの中から出しはしない。
ロシナンテは“世界”を知ったから、おれを裏切った。
ローは“自由”を知ったから、おれの脅威になろうとしている。
「ドフラミンゴ、痛いッ・・・!」
お前は世界も、自由も、知る必要などない。
「黙れ、クレイオ」
痛みも、快楽も、知るのはおれが与えるものだけでいい。
その代わり、お前には全てを与えよう。
金も、宝石も、ドレスも・・・望みとあれば、天竜人の首でも取ってこようか。
お前が生きるのは、おれの腕の中だけ。
だからおれが手に入れることのできるもの、全てを与えよう。
「命令だ、おれにキスをしろ」
クレイオ。
お前は、おれだけのものだ───