第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
“目に入るものを全部壊したい・・・!”
“町も・・・!! 家も・・・!! 人間も!!”
「身体中に爆弾を巻き付けて・・・そのガキは全てを壊したいと言った」
幼き日のトラファルガー・ローを語り始めたドフラミンゴに、クレイオは鳥肌が立った。
彼はこれまで何度かローの話をしてくれたことがある。
そして、ローと一緒にファミリーを抜け出したロシナンテという弟のことも。
酒に酔った日や、機嫌の良い日は特に、ロシナンテの幼い頃の話までしてくれた。
そのことを忘れているわけがないだろうに、“一”からローとの出会いを振り返るのは、思い出に区切りをつけようとしているからか。
これからは、とても残酷な方向へ転換するために・・・
「長くは生きられねェと言っていたが・・・“時代”は、あいつを生かした」
自分を裏切り、“オペオペの実”を奪ったコラソン。
あの悪魔の実はローが現れる前からずっと探し求めていたものだ。
誰かに食べさせ、ローの珀鉛病を治させてから、自分に不老手術を施させるつもりだった。
“おれはお前を・・・10年後のおれの右腕として鍛え上げてやる!!!”
「将来を見込んだガキが・・・おれ自身を重ね合わせたガキが、皮肉なことにオペオペの実を食っちまった」
「ドフラミンゴ・・・」
怒りとも、悲しみともつかない重苦しい感情が、少し離れていても肌で感じる。
テーブルの上で灯るアロマキャンドルの火が、風も無いのに大きく揺れ始めた。
「クレイオ、おれのそばに来い」
左手で額を押えたまま、こちらを見ようともしないドフラミンゴ。
“糸”で身体を支配されているわけでもないのに、両足が自然とそちらへ動いていた。
「・・・・・・・・・・・・」
ドフラミンゴはそばに来たクレイオを膝の上に座らせると、黙ったまま長い指で顔の輪郭をなぞる。