第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
「それにしても・・・“ハートの海賊団”って、なんだこりゃ」
ディアマンテの言葉に、ドフラミンゴの顔がピクリと動く。
ドンキホーテファミリーは、ダイヤ、スペード、クラブ、ハートと4つの組織に分かれており、最高幹部がそれぞれのトップを務めている。
しかし、ハートの組織を統率していたコラソンが死んでからというもの、そこだけは空席となったままだった。
ドフラミンゴがそのハートの席に座らせたがっている男こそ、手配書となっているトラファルガー・ロー。
しかし、その彼が“ハート”を背負って海賊をやっているということに、ダイヤの席に座るディアマンテやラオGは眉をひそめた。
「ローの奴・・・いったい何を考えているのかしら」
年齢が近く、ファミリーの中でもっともローと多くの時間を一緒に過ごしたベビー5も怪訝そうな顔をしている。
「まぁ、そのうち分かるさ・・・」
ドフラミンゴは少し離れたところでシュガーと一緒に中庭の花壇に水を撒いているクレイオに目を向けた。
こちらの会話は聞こえているはずなのに、無関心を装っているのか振り向こうともしない。
「どうするつもりじゃ、若。このまま好き勝手させておくわけにはいかんじゃろうて」
年老いたといえ、かつてはローに体術を指南していたラオG。
ドフラミンゴの命とあれば、海賊のルーキーなど今すぐにでも殺しに行く。
「いや・・・しばらくは好きにさせておく。面白ェじゃねェか・・・あいつがどう成長していくのか」
“死の外科医”の異名を持つほどだ、コラソンから与えられた力をかなり使いこなしている証拠だろう。
「だが、あいつがオペオペの実を食っていることはもう確実なんだから、早く取っ捕まえた方がいい。海軍にいるヴェルゴに居場所を突き止めさせたらどうだ?」
ローの持つ能力の中でも究極の力、不老手術。
どんなに強靭な肉体を持っていても、成人すれば少しずつ細胞が衰えていくだけに、ドフラミンゴは一年でも早く老化を止めるべきだ。
しかし、ディアマンテの提案にドフラミンゴは首を横に振った。