第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
そしてその日、たった一夜にしてドレスローザはドフラミンゴの手に落ちた。
島中から聞こえてくる断末魔の叫び。
リク王を信じた国民達が“裏切られ”、リク王は守るはずの国民達を“殺して”いった。
町中から火の手が上がり、真夜中だというのに空が真っ赤に染まるほど燃え盛る。
リク王はその夜のうちに失脚し、代わりに王座についたのはドンキホーテ家の末裔。
何も知らない国民達は“真の国王”を歓迎し、美しい国を侵略していく黒い陰の存在に気付かずにいた。
「部屋は気に入ってくれた?」
翌日、モネがクレイオの部屋を訪ねてきた。
王宮に連れてこられたのは今朝になってからで、これまでゆっくりと会話をする時間は無かったが、やはり彼女からは好意的な感情を向けられていないようだ。
微笑んでいるものの、黙っているクレイオに向かってあからさまに肩をすくめている。
「随分と愛想が無いけれど、人見知りなのかしら?」
「・・・すみません」
「ふふふ、別に謝らなくてもいいのよ。若様が随分とご執心だから、どのような女性なのかちょっと気になっていただけ」
その口調から、ドフラミンゴに対して忠誠心以上のものを抱いていることが伺える。
モネはシルクのガウンを羽織っているクレイオを値踏みするように見つめながら微笑んだ。
「2週間前、若様から突然言われたの。計画を実行するまでに、王宮の一番奥にある部屋を用意しておけと。窓には鉄格子、ドアには鍵、それと、大きなクローゼットが必要だって」
一羽の小鳥も部屋から抜け出せないように。
そして・・・
「これから貴方に贈る、たくさんのプレゼントを仕舞っておけるように、と」
それは、ドフラミンゴの愛なのだろうか。
それとも、束縛なのだろうか。
「若様が誰を愛していてもいい。私は貴方と違って───」
モネが何かを言いかけた、その時だった。