第7章 真珠の首飾りの女(ドフラミンゴ)
残されたクレイオを包むのは、冷たい闇。
ドフラミンゴは今頃、気が済んだとばかりにワインを飲んでいるだろう。
彼は、グラディウスがあそこまで思いつめていることに気づいているはず。
だからこそあの愚直な部下を可愛がり、彼を傷つけるものは絶対に許さない。
グラディウスもまた、そんなドフラミンゴを崇拝し、彼の妨げになるものを絶対に許さない。
「狭い世界・・・」
クレイオが見ることのできる世界は、天上まで届くかという細長い窓の向こうに広がる空だけ。
そこでは白い月が頼りなげに浮かんでいた。
その儚い光は、クレイオの胸元で輝く真珠のそれに似ている。
ドフラミンゴが肌身離さずつけていろと言った、ネックレス。
たった一粒揺れる真珠は、この王宮に連れてこられたその日にプレゼントされたものだった。
───この世界を壊してやる・・・
身も凍るような残忍な笑みを浮かべながら。