第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
そんなクレイオの心に、サンジはもう少しで涙が溢れそうになる。
「おれは・・・自分ばかり満足してしまったけれど、君をちゃんと満足させられただろうか・・・?」
するとクレイオはニコッと笑い、サンジの金髪を撫でた。
「満足していなかったら、こんなに幸せな気持ちになれていない」
「・・・・・・・・・・・・」
「超一流のコックで女好きの、“黒足のサンジ”・・・」
そして、私の母と同じ金髪を持つ貴方。
「貴方に出会えて、本当に良かった。私に“本物の太陽”を見せてくれてありがとう」
たとえ、貴方が世界の敵だとしても、私は貴方の味方よ。
そう言いながらサンジの腕の中で微笑んだクレイオは、本当に幸せそうな顔をしていた。
クレイオとサンジが身体を重ねたのは、この一回きり。
娼婦と海賊の命の結晶が、ここで生まれたかどうかは分からない。
しかし、たとえ新たな命が宿らなかったとしても、サンジの残した光は、クレイオを明るく照らしていくだろう。
闇から出て、太陽の光を浴びながら生きていく。
本当の愛を知った娼婦は、その生き方に誇りを持っていくことだろう。
そして、別れの時。