第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「サンジ。私には、貴方達のような生き方はできないかもしれない」
ピンチの時に駆け付け、逃げ道を作り、心を理解してくれる強い仲間。
きっとサンジも仲間が危険に晒されれば、自分の命を投げ出してでも助けにいくだろう。
そんな彼らの“自由と夢”が、世界にとって許されないものだとしても・・・
私はそんな海賊達の“生き様”を見届けたいと思う。
「でも、そういう“生き方”があると、教えてくれてありがとう」
いつか・・・自由と夢を、私も追いかけていきたいと思う。
はっきりとした形の無い、靄のようなものだけど、しっかりと掴むことができたら、その時は私も命を懸けよう。
すると、サンジは嬉しそうに目尻を下げた。
「どういう生き方をしたっていいんだよ。心に折れない信念さえあれば」
「サンジ・・・」
「クソ国王が君の存在を否定しようが、世界政府が君の生き方を否定しようが関係ねェ」
世界を敵に回しても構わない。
「おれには君の存在が大切で、どのような生き方であっても支えたいと思う」
海のどこにいようとも。
この穢れない娼婦を傷つけるものは絶対に許さねェ。
「海賊は自由だからな!」
娼婦と海賊。
ともに生きることができない二人だが、その心と身体は今、固く結ばれようとしていた。