• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~



「サンジ」

クレイオはサンジの両手にそれぞれ自分の手を重ね、ネクタイを締めている胸に額を寄せた。


「貴方と結ばれる運命にはないけれど・・・貴方が残した“命”なら、私は無条件に愛していける」


“外の世界にはきっと、貴方を本当に愛してくれる人がいるから”

貴方の言葉には、貴方の眼差しには、女性に対する愛情が溢れている。
先生もきっとそう思ってくれるでしょう?


「貴方の子どものためなら、私は無条件に犠牲になることができる」

決して綺麗な身体とはいえないけれど・・・

「貴方にこの身体を捧げたい」

暗い部屋で寄り添う、娼婦と海賊。
その姿はあまりにも切なく、そしてあまりにも儚く・・・まるで二人の運命を象徴しているかのようだ。

「貴方は言っていたわよね。“おれが抱くことで幸せにできるならどんな女でも抱く”、と」

サンジを見上げるクレイオの瞳は、娼婦のそれではなく、幸せを望む一人の女の瞳。

「貴方に抱かれたら私は幸せ・・・そう言ったら抱いてくれる?」

その瞳から一筋の涙が零れる。


「私を幸せにして、サンジ」


サンジは一言も発することなくクレイオを見つめていた。
まるで、その心に触れようとしているかのように。




「・・・・・・・・・・・・・・・」


どれくらいそうしていただろう。
ふと、サンジは数歩離れると、クレイオに背を向けた。


「サンジ・・・?」

「・・・このままじゃダメだ」


窓の方へ歩いていき、閉め切っていたカーテンを全部開ける。
途端に差し込んできた陽の光に、クレイオは目を細めた。

一瞬、視界が真っ白になったところで、娼婦の手を優しく握る海賊。


「“本物の太陽”を見たい・・・そうだったよな?」


サンジはニコリと微笑んだ。


「おれは太陽に背きながら、女を愛することはしねェ」


堂々とその下で愛して見せる。


「おれの全てで君を幸せにするよ、クレイオちゃん」


そう言ってクレイオを抱き寄せ、その唇にキスをした。






/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp