第1章 始まりと終わりの町(シャンクス)
“海賊王”ロジャーの子を宿した女、ポートガス・D・ルージュが髪に飾っていたハイビスカス。
ロジャーとルージュの物語は極秘で、記録として残すことはできない。
しかし、二人が愛し合っていたという証は、クレイオが生き続ける限り残っていく。
ハイビスカスは、処刑台を優しく見守るように飾られていた。
「私は・・・ロジャーに出会うまでずっと、自分で“オペオペの実”を食べ、誰かに不老手術をすることで“死ねる”と思っていた」
「・・・・・・・・・・・・」
「でも、長い孤独の中で、大事なことを忘れてしまっていた」
私の命は、“オペオペの実”の能力者の命と引き換えにあるということ。
死んででも私を“生かそう”としてくれた、この大きな愛情を忘れるところだった。
“お前の“声”はちゃんと聞こえているぞ。おれと一緒に来い”
「ロジャーが聞いたのは、孤独を嘆く私の声じゃなかったのかもしれない。きっと、私の命に姿を変えた、“能力者”の声だったんでしょうね」
そのロジャーがクレイオに託したのは、“万物の声を残す”ということ。
そのために永遠の命があるのだとしたら、自分はこの孤独にも耐えていける。