第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「おい、サンジ」
ルフィが噴水の前に立っているサンジに向かって声を張り上げた。
「ここはおれ達に任せろ」
腕を組み、ニッと不敵に笑う船長。
ゾロは“待ってました”とばかりに刀を抜き、ナミも笑顔を浮かべている。
「いいのかよ、キャプテン?」
「ああ。お前はショーフと行け」
ルフィの真っ直ぐな瞳は、クレイオに向けられていた。
言葉にはしないが、サンジに“ケリ”をつけてこいと促す。
すると、今度はナミがログポースをはめた左手首を太陽にかざした。
「ログはもう溜まっているわ。稼いでいられる時間は、せいぜい2時間! それまでに船に戻ってこなければ、置いていくからね!」
「何を言っている! 貴様達に2時間も稼げるわけがないだろう! その前に壊滅させてくれる!」
一人の海兵が叫びながら、ナミに向かって銃の引き金を引いた。
しかし銃弾は航海士に届く前に、ゾロによって真っ二つに斬られてしまう。
ナミは少しも動じることなく、発砲した海兵に向かって冷ややかな瞳を向けた。
「勘違いしないで。2時間というのは、ここにいるバカ達が島をメチャメチャに壊さないよう、私が見張っていられる時間のことよ」
エニエス・ロビーのようになりたくないでしょう? と可愛い顔に無慈悲な笑顔を浮かべる。
「ナミさん・・・すまねェ」
サンジはナミに頭を下げた。
それを合図としてルフィとゾロが教会の屋根から飛び降りてくる。