第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
い・・・
今・・・いったい何が起きているの・・・?
クレイオは呼吸をすることすら忘れ、その場から動くことができなかった。
見れば、あれだけいたはずの海兵が半分程度の数になっている。
「おい、ルフィ! 一人で全部ブッ飛ばすじゃねェよ」
「あ、わりィ、ゾロ」
広場を見下ろす教会の上に、二つの影。
一人は麦わら帽子を被り、一人は三本の刀を腰に下げている。
あ・・・あれは・・・
「おーおー、ルフィにクソマリモ。別に来なくて良かったのに」
そう言って肩をすくめたサンジだったが、ルフィの後ろにもう一人いることに気が付くと、一瞬にして目をハートに変えた。
「んナミさ~~~ん!!!」
「もう、ルフィ・・・! 無茶しないでよ!」
「自分も連れていけって言ったのはお前じゃねェか」
「もっとデリケートに扱いなさいよ!! あ、サンジ君」
ナミもどうやら、ルフィに抱えられてここまで来たようだ。
相当ムチャをされたのか、かなりご立腹の様子。
“麦わらのルフィ”、“海賊狩りのゾロ”、“泥棒猫”ナミ。
港で捕まっているはずの3人が目の前に現れ、生き残りの海兵達は慄いていた。
「なぜだ・・・! 5隻の軍艦が貴様らを包囲したはず・・・!!」
すると、ゾロは地上にいる海兵達を見下ろし、極悪な笑みを浮かべる。
「軍艦? ああ・・・そんなのもいたか? 随分と“昔”のことだから、もう覚えてねェな」
言い終わると同時に、港の方から大きな爆煙が立ち昇った。
それは全部で5つ。
海兵の言う、軍艦の数と同じだ。
「フランキーやウソップの野郎達も、ずいぶんと派手に暴れているようだな」
サンジは煙草の吸殻を踏みつぶし、二ヤリと笑った。