第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
口淫、手淫、素股・・・考えつく限りの性欲処理法。
もちろん、娼婦ではない先生が教えられることなど限られている。
それでも涙を流しながら、膣に挿入されずに男を満足させる手段を教えてくれた。
“ごめんね、クレイオ・・・でも、それが貴方自身を守る、唯一の方法よ”
母を犯した先生の弟。
先生を犯した国王。
愛情のないセックスが生み出した、悲劇の連鎖。
“信じていれば、いつか必ず外に出られる日がくるから・・・”
その連鎖を断ち切るには、クレイオが純潔を守るしかない。
“外の世界にはきっと、貴方を本当に愛してくれる人がいるから”
「・・・先生はそのあとすぐに死んだ。出産直後に大量出血して・・・赤ちゃんも助からなかった」
もしかしたら殺されたのかもしれない。
でも、それを知る者はいない。
そして、恐れていた通り、国王の性欲はクレイオに向けられるようになった。
鉄格子越しに性器を咥えさせ、クレイオの顔や体に射精するまで容赦しなかった。
何度も挿入されそうになったが、その度に先生が教えてくれた方法で逃げることができた。
「私が15歳になった時、母が死んだのをキッカケに国王は新たな妻を迎えた。それが今の王妃様よ」
そしてクレイオは、自分の出生を一切明かさないという条件で、ついに城から解放された。
前妻の娘をそばに置いておきたくなかったのだろう。
「まあ・・・追放っていうことね。でも、おかげで自由になることができた」
そう言って、笑う。
“真夜中に出航する海賊船に乗れ。二度とこの島に戻ってくるな”
それが王の命令だった。
「でも、私はこの島に残らなくちゃいけないって思った」
“常春の島”と称されるこの穏やかな島にも、闇はある。
その闇は王家を中心として、島中へ広がっている。
男が女を犯したいという欲望に支配された時、生まれるのは悲劇の連鎖。