第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「もしかして・・・その先生の弟って・・・」
「そう。私の母を強姦した男───」
国王は犯人を突き止めていた。
しかし、彼を正式に罰することはできず、生かしておく代わりに島の小さな学校で教師をしていた姉に城へ来るよう命じた。
クレイオに勉強を教えるという名目で。
国王はきっと、最初は“報復”のつもりで先生を犯したのだろう。
だが地下室で情事に耽るうち、その歪んだ感情は“執着”となって先生を闇の中に取り込んだ。
「先生が妊娠したのは必然だった」
性に対する執着は、どの暴力よりも恐ろしい。
「先生のお腹が大きくなっても、国王は先生を凌辱し続けた。でも、それすらもできなくなると・・・」
王の目はクレイオに向けられた。
当時、12歳。
胸は膨らみ、女としての身体つきになりつつあった。
“クレイオ、服を脱げ”
血の繋がらない女なら、子どもでも犯してもいいと思ったのだろう。
その瞬間、先生は叫んだ。
“私がお相手します! 王、クレイオにだけは手を出さないでください”
その時に先生が取った行動は、今も目に焼き付いている。
冷たい床に跪き、そそり立った男根を口に含んだ。
腹の中では胎児が“生まれたい”と暴れていただろう。
しかし、身重の身体を投げ打って国王の性欲を鎮め、クレイオを守ろうとした。
「国王にとってみれば、私は憎い男の娘。しかも、この世には存在しないことになっている」
性奴隷にしても咎められることはない。
その時から先生はクレイオにこう言うようになった。
“クレイオ。男の人を悦ばす方法を身につけなさい”