第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
エニエス・ロビー事件で世界に名を轟かせた海賊。
海軍は彼らを一網打尽にするため、近隣から援軍が到着し次第、サウザンド・サニー号を制圧するという。
巻き添えを食らわないように、一般の漁船は一切の出航を禁じられていた。
「麦わら海賊団・・・」
一瞬、サンジの顔がよぎる。
随分と間の悪い時にこの島に来てしまった。
ただの旅行者なのに、争いに巻き込まれなければいいのだが・・・
「だから時間はある。たっぷりと楽しませてもらうぞ」
「ち、ちょっと待って」
押しどけようとしたものの、反対に押し倒される。
月下香の香りが客の興奮を煽ったのか、野獣のようにクレイオの乳房に喰らいついてきた。
「咥えたくねェってなら、今日こそ挿れさせろ」
「ちょ・・・ちょっと!!」
「お前、さっきあの金髪男に言ってたよなァ」
“処女なんだろ”と耳元で言われ、背筋に悪寒が走った
「いつもは抱く気も失せるほど善い思いをさせてもらっていたから気づかなかったぜ」
「やめて!!」
指で強引に花唇を開かされそうになり、必死で抵抗をした。
だが、屈強な男の力に勝てるはずもない。
“クレイオ。男の人を悦ばす方法を身につけなさい”
「嫌!!」
“それが貴方自身を守る、唯一の方法よ”
「暴れるんじゃねェ!!」
ガツンと鈍い音がしたかと思うと、口の中に血の味が広がる。
“性欲はとても怖いものだから”
殴られた頬の痛みよりも、恐怖が全身を支配して動かない。
こんな時、自分を守るために必死で覚えたはずの技術が何一つ思い出せなかった。
セックスはしないと心に誓った。
“本当の太陽”を見せてくれる人に出会うまでは───