• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~







それから数十分後。

サンジはサニー号のキッチンにいた。
クレイオに殴られた後、行く当てもなくフラフラと街を歩き、気がつけば見慣れた場所にいた。

仲間達がいる船のキッチン。
無意識のうちにここへ来たのはきっと、サンジにとって世界で一番落ち着く場所だからなのかもしれない。


ジュー、ジュー・・・

まだ寝ている仲間のために朝食を作っていると、ガチャリとドアが開く音がした。

「おお、サンジ。帰ってたのか」

寝癖がついたままの髪で、目をこすりながら入ってきたのはルフィ。
食べ物の匂いにつられて起きたのだろう。

「腹減った。飯はまだか?」
「じゃあ、これでも食っとけ。あとでホットケーキも焼いてやる」
「うまそ~!」

ルフィ用に作っておいた特大オムレツを渡すと、目を輝かせながらかぶりついた。
そのあとはいつも“うんめェ~!”とお決まりの文句が続くはずなのに、何故かモグモグと口を動かしたまま何も言わない。

「どうした?」

不思議に思って振り返ると、ルフィは首を傾げながら“うーん”と眉間にシワを寄せていた。

「なぁ、サンジ・・・これ、いつもと違う味がするぞ」
「んなわけねェだろ。いつも通りに作ったんだから」

リコッタチーズをたっぷりと使ったフワフワのオムレツだ。
ルフィはいつも、10人分はペロリと食べてしまう。
しかし、あまりにも怪訝そうな顔をしているので、サンジも皿から一口貰って食べてみた。

「マッズ!!」

ものすごく匂いがきついし、塩加減も間違えている。
お世辞にも美味いとはいえず、とても食べられたものではない。

どうやら、リコッタと間違えて、羊のロックフォールチーズを入れてしまったようだ。
見た目がまったく違うし、匂いも強烈なのに、なぜ気が付かなかったのか。




/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp