第1章 始まりと終わりの町(シャンクス)
「ハァ・・・ッ・・・ハァ・・・」
崩れ落ちるように倒れこんできたシャンクスを抱きとめる手は温かい。
シャンクスは息が整うのを待ちながら、密着する柔らかい乳房の感触を楽しんでいた。
結合したままの性器は、痙攣しながらもまだ精液を吐き出している。
それを感じ取ったのか、クレイオはシャンクスの髪を撫でながら微笑んだ。
「まるで貴方の命を私の中に残そうとしているみたい」
「お前の命の一部になれんだったら、それも悪くねェな」
シャンクスはドサリと隣に寝そべると、右腕をクレイオの首の下に差し入れ、その身体を抱き寄せる。
そして、少し寂しそうに笑った。
「それにしても片腕ってのは不便なもんだなァ。普段は気にならないが、お前を抱くのも一苦労だ」
「そんなことで、はたしてミホークに勝てるのかしらね?」
世界一の剣豪、ジュラキュール・ミホーク。
いまだ決着のついていない彼との決闘はどうなるのだろうか。
「“鷹の目”とは顔を突き合わせるたびに剣を交えてきたが、あいつはおれをどう思うだろうな」
片腕だからといって憐みを見せるような男ではないが、きっとシャンクスへの興味を損なうだろう。
それもそれで寂しいもの。
「いつだったか・・・一度だけ、ミホークと決闘をしないで酒を酌み交わした夜があった」
“今宵は不浄の血で月を穢したくはない”
殺気を纏って現れたシャンクスに、大剣豪は黒刀を抜かぬままそう言った。
「聞けば、ガキが生まれたっていうじゃねェか。嬉しそうな顔などこれっぽっちもしていなかったが、おれの差し出した酒に口をつけたのは、あの時が初めてだった」
“そりゃめでたい! 祝い酒だ、飲もう!!”
ミホークが黙って杯を受け取ってくれた時は嬉しかった。
もしかしたら、これからは剣ではなく、酒を交わしていくのかもしれない。
それも、縁。