• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~



「じゃあね、サンジ。昨日は本当に素敵な夜だった」

そう言って、男と腕を組んでホテルに行こうとするクレイオ。

───ダメだ、行かせたくない!

娼婦の顔に戻った女の手を掴んだサンジはただ、その一心だった。


「ちょっと待て! なんで君はこんなことをしているんだ!」


その瞬間、一貫して笑顔を浮かべていたクレイオの表情が初めて変わる。


「・・・こんなこと?」

「いくら金のためだろうと、こんなクソ野郎に抱かれて、幸せなわけがねェ!」


“君はおれに抱かれても幸せになれなさそうだ。だから、抱くことはできねェ”

“金で君が幸せになれるなら、全財産かけても構わないさ”

“おれは本気で、どうすればクレイオちゃんを幸せにできるか考えている”


「もし事情があって娼婦なんかをやっているなら、おれに話してくれ! いくらでも力になる!」

「娼婦・・・なんか・・・?」


クレイオは男と組んでいた腕を解くと、サンジの傍に歩み寄った。
そして、はっきりと敵意を剥き出しにした目で見上げる。

「貴方・・・娼婦を、なんだと思っているの?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「快楽を売ることがそんなに悪いことなの? そんなに私は不幸な女に見えるの?」

「クレイオちゃん・・・」

「私は島の人にどんなに罵られようが、レストランから入店拒否をされようが構わない。だって、この仕事に誇りを持っているから!」


“ちょっと、うちの子に関わらないで!!”

“そうやっていつもヘラヘラ笑って男を誑かす・・・本当に薄気味悪い女だよ”

“申し訳ありませんが、そちらのお客様をご案内するわけには・・・”


どんな扱いを受けてもいつだってクレイオは微笑み、自分に対して嫌悪感を抱く人間達を許してきた。




/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp