第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「貴方の料理はとても綺麗で、とても美味しい」
メインの食材だけでなく、ソースや付け合わせの細部にまで愛情が注ぎ込まれている。
それはきっと、料理に対しての情熱がそうさせているのだろう。
「食べて喜んでくれる人はたくさんいる、そうでしょう?」
「まあ・・・おれの仲間は大食漢ばかりだからな」
「食欲を満たす貴方の才能は喜ばれるのに、性欲を満たす私の才能が認められないのは何故かしら」
人は空腹を覚えれば、腹が減ったと言う。
眠気を覚えれば、眠くなったと言う。
しかし、興奮を覚えても、セックスをしたい、オナニーをしたいとは言わない。
生きるために必要な欲の一つだというのに・・・
「性欲はとても怖いものよ。放っておいても死なないけれど、溜まりに溜まったその欲は、いつか人を傷つける」
のぞきや窃盗などの軽い犯罪であっても、暴力をともなう強姦であっても、暴走した性欲に傷つくのは、その対象となった相手だ。
子ども、女性、時には男性。
「でも、私なら性欲が暴走する前に、それを鎮めることができる」
そのためのあらゆる“技術”を身につけてきた。
「サンジを初めて見た時、私なら貴方を救うことができると思った」
路地裏ですれ違った時、顔を赤くしているサンジの異変にはすぐに気が付いた。
案の定、ホテルに宿泊していることを知り、部屋に向かった。
“貴方には私が必要でしょう?”
そのまま野獣のように襲われても、私なら大丈夫。
普通の女性は知らないテクニックで、性欲の獣となる前に苦痛から解放してあげられる。