第1章 始まりと終わりの町(シャンクス)
「シャンクス」
クレイオは両手で赤髪の頬を包み、真っ直ぐとその瞳を見つめた。
「余計なことを考える時間は、無いんじゃないの?」
こうして二人が一緒にいられる時間は限られている。
できぬこと嘆くより、できることを気のすむまでやっておく方が大事だろう。
「ああ、悪かった」
シャンクスはクレイオの唇に口づけると、それまでゆっくりと行き来していた自身を根元まで挿し込んだ。
ヒュッと息が止まるような感覚の後に押し寄せる、強い快感。
シャンクスの前髪から垂れた滴が、クレイオの頬に落ちた。
血管の浮き出た太い男根が、体内の壁を擦り、互いから溢れる蜜が溶け合う。
シャンクスにとってクレイオは、“愛する女”ではない。
男というものは、我儘な生き物だ。
シャンクスのように命を懸ける男は特に、自分の血を残したいという強い欲求にかられることがある。
だから、長く滞在するうちに、“愛する女”ができた島もあった。
新たな命が誕生してもおかしくないほど、身体も重ねた女性が他にいる。
だけどクレイオは違う。
「ああ、シャンクス・・・!」
満たされぬものを埋めようとする欲求が、他の女性に対する感情だとしたら。
クレイオに対するそれは、尽きることなく溢れてくる、欲求とは正反対の感情だ。
こうして身体を重ねていても、決して手が届くことのない存在。
シャンクスにとってクレイオは、“唯一の女”だった。