第1章 始まりと終わりの町(シャンクス)
「ロジャーが死んでから、初めてこの町に戻ってきた時も」
見習いだった貴方は麦わら帽子を被り、“自分”の海賊船に乗っていた。
「グランドラインを旅して、この町に戻ってきた時も」
左目に3本の深い傷を負い、剣の使い手として名を上げていた。
それでも・・・
「貴方は以前より逞しく、強くなっていたけれど、その瞳はロジャーの船に乗っていた頃のまま」
だから私はこんなにも貴方に惹かれるの。
「シャンクス。貴方が見てきた物語を、貴方が感じてきた物語を、私に聞かせて」
ロジャーの意志を継ぎ、ロジャーの意志を繋いだ男。
クレイオは海賊王に出会い、ずっと目を背けてきた“現実”を見るようになった。
そして、ずっと忌み嫌っていた“未来”に心弾ませるようになった。
その彼の死から12年。
遺された意志を今も心に宿す、シャンクスに求められているこの時間だけが、永遠に続く孤独を忘れることができる。
「ああ、クレイオ・・・」
シャンクスは窓辺に飾られている、真っ赤なハイビスカスの花に目を向けた。
サウスブルー特有の花。
それを好んで髪に飾っていた女性を、シャンクスは知っている。
そして、その女性を深く愛した男のことも。
「船長のように・・・おれもお前の中に命を宿すことができればなぁ・・・」
それは願ってはいけないことだと知っているはずなのに、クレイオと一つになるたびにそう願わずにはいられない。
どれほど彼女の身体の中に精子を注ぎ込んでも、それが結晶となることはない。
仰向けに横たわるクレイオと全身を擦り合わせるように深く深く挿入しながら、シャンクスは自嘲気味に微笑んだ。