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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~




サンジはクレイオの肩に手を置き、一定の距離を保ちながら真っ直ぐと瞳を見つめた。


「もし、おれが抱くことで幸せにできるなら、どんな女でも抱くよ」


相手の立場や身分など気にしない。
女が幸せそうに微笑めば、それでサンジは満たされる。


「だが見たことろ、君はおれに抱かれても幸せになれなさそうだ。だから、抱くことはできねェ」


すると、クレイオは声を上げて笑いだした。

とんだお客がいたものだ。
童貞ならなおのこと、女の肌を知りたいと思うもの。
こうして教えてやると言っているのに、御大層な信条を並べている。

「おかしな人。私は娼婦よ、男の人に身体を売る目的は、幸せになりたいからじゃない。お金のためなの」
「じゃあ、いくら必要なのか教えてくれ。おれに都合つけられる金額なら渡す」
「ちょっと待って・・・見ず知らずの娼婦にお金だけやるってこと?」
「金で君が幸せになれるなら、全財産かけても構わないさ」

抱かずに金だけ渡す、と?
どこの世界にそんな娼婦の買い方をする客がいるというのか。

「あはははは、本当に面白い冗談ね」
「冗談なんかじゃない」

それを裏付けるように、サンジの瞳は真っ直ぐで。

「おれは本気で、どうすればクレイオちゃんを幸せにできるか考えている」

「・・・・・・・・・・・・」


───やめて。

そんな言葉を言わないで。

欲望を抑えられる男などいない。
男の欲望とはそれだけ醜くて、凶悪なものだから。

もし、本当にそれを捨てられる男が存在するのだとしたら。
私がこの世に生まれ落ちたことが、本当にただの“悲劇”になってしまう。




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