第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「へぇ、こりゃなかなか」
紹介してもらったホテルは、値段と立地のわりにしっかりとした造りの内装だった。
聞けば、海軍のお偉方も利用することがあるという。
そういえばさっきすれ違ったカップル・・・男の方は海兵だったな。
サンジは灰色のシーツが掛けられたダブルベッドに腰かけ、煙草に火をつけた。
「・・・・・・・・・・・・」
さほど広い部屋でないのに、ガランとしているように感じるのは何故だろう。
ルフィ達の仲間になる前は、バラティエのコック達と共同生活をしていたサンジにとって、夜を一人で過ごすことは久しく無かった。
「こんなに静かなもんだったっけな」
紫色の煙を吐きながら、苦しそうに眉間にシワを寄せる。
誰にも邪魔されない場所を求めてここに来たが、望んでそうしたわけではない。
ここは知らない島だ。
本来ならナミとロビンをしっかり守らなければいけないのに、自分自身が彼女達にとって危険な存在になるなんて・・・
「どっちにしろ、夕方にはいったん船に戻って、あいつらの晩飯を用意してやらねェと」
ここへ来るまでに見かけた店に並べられていた野菜や魚を思い出しながら、仲間達が喜びそうなメニューを考える。
いつもなら数分とかからずにフルコースが脳内に出来上がるが、どうしても意識が“別”の方に飛んでしまい集中できなかった。
「クソ・・・やっぱ抜かねェとダメか」
昨晩、あれほど扱いたのに、まだガチガチに硬い。
意識とは関係なく興奮するこの身体はいったい何なんだ。
この先、何度も同じようなことが起こったらどうする。
ナミさんやロビンちゃんを襲ってしまったら、おれは自分を一生許すことができねェ。
自己嫌悪に陥りながら、ズボンのベルトを外そうとしたその時だった。