• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~






「あの男が気に入ったのか、クレイオ?」
「誰の事?」

大通りに出る直前、組んでいた腕を解いた海兵は、クレイオの顎を掴んで上を向かせた。

「さっきすれ違った金髪の男を見ていただろう?」
「妬いているの?」
「当然だろう。おれといる時に、他の男に色目を使われたら気分のいいものではない」
「ごめんなさい。男の人を見るとつい・・・」

そう言って微笑んで見せるクレイオが気に入らなかったのだろう。
海兵は乱暴にその唇を奪うと、口内を掻きまわす。

この女は自分の所有物。
そう刻み込んでいるのだろうか。

「・・・人に見られてもいいの? 立場があるんでしょう?」

「ああ、そうだな」

海兵が娼婦を買っていると知られたらまずい。
名残惜しそうに唇を離すと、薄い布越しにクレイオの尻を撫でる。

「いいか、今夜もホテルに行くから待っていろ」

「うれしい。その“麦わらの一味”、簡単に捕まえられることを願っているわ」


そんなこと、露程も思っていない。

海軍が“麦わらの一味”を捕まえられようが、捕まえられまいが、クレイオにとってはどうでもいいことだった。
この島が海賊の脅威にさらされようが、それ以上の“脅威”があることを自分は知っている。


この世界を守る機関はどれも、海賊に目を向けてばかり。
本物の狂気はもっと別のところにあることを、彼らは知らない。


───さっきの金髪の男の人のように・・・



「また一人・・・お客を見つけた」



クレイオは愚かな海兵を見送ると、微笑みながら路地の向こうにある“闇”へと戻っていった。







/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp