• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~




一緒に歩いている男は明らかに海兵。
それもかなりの階級だろう。

海賊であるサンジは反射的に顔を背けた。
だが、男の方はサンジを一瞥しただけで、気に留める様子もない。

しかし、女性はゆっくりとサンジに瞳を向けると、そのまま透明な眼差しで見つめてきた。


「・・・・・・・・・・・・」


視線が交わること、数秒。
それがまるで永遠のように感じられた。

抑えきれない欲求の絶頂にあるサンジを見て、いったい何を思ったのだろう。

艶やかな唇の両端を上げる。


「え・・・?」


彼女はすれ違い様、サンジに微笑みかけていた。




“この島で女と“イイ事”したけりゃ、クレイオの所に行きな”

“最高の娼婦だ。3分ありゃ3回は天国にイケるぜ”



サンジと娼婦はこの時、一切の言葉を交わしていない。
しかし、これまで出会ってきたどの女性にも感じたことのない、不思議な感覚を覚えた。

それはまるで恐怖にも似ていて・・・

こちらの心は見透かされているのに、相手の心の中は一切見ることができない。

本人はまだ知らない“見聞色の覇気”の素養があるサンジにとって、それは未知の感覚であり、“怖い”という気持ちにつながっているのかもしれない。






/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp