• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~









───この島で女と“イイ事”したけりゃ、クレイオの所に行きな。

酒場に入れば、酔っぱらった男達が口々に言う。


「最高の娼婦だ。3分ありゃ3回は天国にイケるぜ」


さぞ手練手管に長けた高級娼婦かと思いきや、随分と“手頃”な値段で買えるという。


「客の懐具合で値は決まる。金を持っている客には目ん玉飛び出るような高額、持ってねェ客には二束三文で服を脱いでくれる」


生まれながらの“淫女”。
ワノ国のキモノを着崩し、常に妖艶な笑みを浮かべながら街で男達を誘う。

この島の若い男で彼女を知らぬ者はいない。
誰もが一度は彼女に邪な視線を向け、彼女の“商売道具”の世話になった者も多い。

しかし、その素性は誰も知らなかった。


「彼女について分かっているのは名前だけ。この島の生まれなのか、どこぞの島からやってきたのか、それもナゾなんだ」


どこからともなく太陽の下に出てきては、男と共に闇の中へ消えていく。
分かっているのは、彼女を買った男達は皆、裏町のホテルに行くということだ。


「そもそも、誰も娼婦の素性なんて探ろうとしない。知らねェのが一番だ」


深入りして困るのは、クレイオに“世話”になった男達の方だろう。
万が一、自分が彼女の家族か知り合い、友人だと思われたら恥だ。

こちらが楽しむだけ楽しんだら、そのことを言いふらされる前にいなくなって欲しい。

生きていても好都合、死んでいても好都合、男達にとって娼婦とはそれだけの価値だった。







/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp