第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「みんな、ちょっと甲板に集まって! いまのうちに“担当”を決めるわよ!」
島まであと少しというところで、ナミがクルー全員を集合させる。
「ログがどれくらいで溜まるのか分からないから、今日はこの島に一泊しましょう。サンジ君以外の全員が、3時間交代で船番ね」
無人島と違い、人の多い島ではそれだけ海兵もいる。
エニエス・ロビーの一件からまだ日が浅いだけに、なるべくトラブルは避けたいところだ。
「え~、サンジは船番しねェのか?!」
「サンジ君は買い出し係よ。ウォーターセブンではあまり食料を積み込めなかったから、ここで補給しておかなきゃ」
「じゃ、おれも買い出し係がいい! 肉を食いてェ!」
「ルフィはダメ!」
「なんでだよ! サンジばっかズルイぞ!」
すると、ナミは思いっきり不満そうな顔をしているルフィの顔に、手配書の束を突き付けた。
「あんたは3億なのよ、3億! しかも、全員が賞金首になっちゃったから、私達の顔はきっともう知られている・・・だから、買い物はサンジ君だけに行ってもらうわ」
「サンジだって賞金首に・・・」
と、ルフィが言いかけた所で、全員の目がサンジの“手配書”に向けられた。
他の誰もが写真を使われているというのに、サンジだけが何故か手描きのイラスト。
それも、モデルが人間かどうかさえ疑わしいと思ってしまうほど下手くそな似顔絵だ。
このことに関しては、サンジの前では禁句扱いとなっていた。
「確かに・・・“コレ”とサンジを結び付けられる奴はいねェよな」
「心底気の毒そうに言うんじゃねェ、ウソップ!!」
「いや、そっくりじゃねェか? 写真かと思ったぜ」
「ゾロ、てめェ!! 三枚にオロしてやる!!」
早速ケンカを始めたコックと剣士を無視して、ナミは続ける。