第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
「・・・クッ・・・」
真っ赤に充血しているそこはすでに敏感になり過ぎていて、少し触っただけで真っ白な精液を吐き出す。
それでも、身体の震えは治まらなかった。
───まだだ、もっとだ。
心の中にいる別の人格が、そう叫んでいる。
───お前の欲求は、これぐらいじゃ治まらない。
「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」
考えるな、何も。
思い浮かべるな、誰の顔も。
今、自分がしているのは大切な女性を穢しかねない行為。
肉体的な暴力と違い、消えない“傷痕”を心に残しかねない行為。
こんな自分に吐き気すら覚える。
「クソッ・・・」
もう痛みすら感じるのに、まだ絶頂を欲しがっている。
年に数回悩まされる、性的な快感を常に感じ続けるこの拷問から、いつになったら解放されるのだろうか。
世の中の女性を大切にしたい、ただそれだけなのに。
積もり積もった欲情が爆発し、望んでもいない自慰を強要させる。
その夜、サンジは吐き出した精液に血液が混じるほど、自身を慰め続けていた。
ただ無心に、ただ孤独に。
何時間そうしていただろう───
朝日が水平線から光の矢を放ち始めるのと同時に、サニー号の進路の先に、小さな島がゆっくりとその姿を現す。
そこでこの悪夢に怯えることなく救いの手を差し伸べてくれる一人の女性と出会うことになるのを、この時のサンジはまだ知らなかった。