第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
さすが、ウソップ達と張り合うというだけあって、ルフィの立ち小便は威勢がいい。
「はー、すっきりした」
ここまで堂々とされると、もはや“あっぱれ”と褒めたくなるものだ。
清々しい顔で甲板に飛び降りてきた船長に、サンジは複雑な顔で微笑んだ。
「そりゃ良かったな」
「お前はいいのか?」
「おれはションベンがしたいわけじゃねェ」
野郎の放尿を見せられたおかげで、かなり症状が弱まってくれた。
ここはルフィに感謝だが、まだ勃起は治まっていない。
「じゃあなんでちんちん出してんだ? 変な奴だなー」
「・・・は?」
もしかして、17歳にもなって知らないのか?
普通、見りゃ分かりそうなものだが・・・
いや、この男ならそれもありえる。
と思っていると、ルフィが何かに気づいたようにポンッと手を打った。
「あー、そっか。お前、勃ってんのか!」
「良かった、お前もちゃんと男の生理現象を知ってんだな。一瞬、心配したぞ」
「お前、おれをバカにしてんのか! 失敬だぞ!」
ルフィは不満そうな顔をしたが、すぐにニッと笑う。
「そういう時はな、ギューンって思いっきり伸ばすといいぞ」
「・・・は?」
「だから、こうして持ってよ。こうやって伸ばすんだ!」
ルフィの手つきを見ていると、同じことをすれば大事なところが捥げてしまいそうだ。
イヤ・・・そもそも、それは気持ちがいいのか?
ただの拷問なだけのような気がするが・・・
ゴム人間の自慰は常人とは少々違うのかもしれない。
サンジが理解に苦しむ一方で、当のルフィはといえば大あくびをしている。
出すもの出してすっきりしたら眠気が襲ってきたようだ。
・・・本当にどこまでも自由な奴だ。
「おれ、見張りの番が回ってくるまで寝る。じゃあな」
「おう、さっさと寝ろ」
目を擦りながら船室へ戻っていく船長を、サンジは“あいつはいったいなんだったんだ”と呆気に取られながら見送った。