第3章 ある娼婦と海賊のはなし ~サンジ編~
グランドラインといえども、今宵の海は穏やかだ。
きっと、ウォーターセブンで新たに“仲間”となったサウザンドサニー号の航行性能のおかげもあるかもしれない。
船の前後に一人ずつ置かれる見張りは、チョッパーとゾロ。
これだけ平和だと、二人とも今頃は居眠りをしているだろう。
サンジは甲板の手すりに寄りかかると、煙草に火をつけた。
「・・・・・・・・・・・・」
紫煙が暗闇へと吸い込まれていく。
月も出ないこんな日は、ナミやロビンが海の魔物にさらわれないよう、しっかりとガード(という名の添い寝)をしたいものだが、今はそういうわけにはいかない。
「・・・迷惑な話だ」
さて、どうしたものか。
男部屋ではウソップやルフィが寝ているだろうし、風呂はナミが決めた男性陣が使っていい時間をとうに過ぎている。
見下ろせば、細身のスーツの股間には見事なテントが張っていた。
「はー」
仕方がない。
とりあえずここで何発か出しておけば、寝るくらいはできるだろう。
もしかしたら数時間で治まるかもしれないし、明日もレディーとアホ共に食事を作らなければならないんだ。
サンジはここが見張り台から死角となっていることを確かめると、ズボンのベルトを外した。
「クソ、お前もおれのナニならもう少し我慢しろ」
ほんの少し下着をずらしただけで、待ってましたとばかりに飛び出してきた自分自身にため息を吐く。
少しでも鎮めてやろうと、ウンザリしながら握ったその時だった。