第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
不思議なものだ。
これからしばらく・・・いや、もう二度と会えない可能性だってあるのに、ゾロはまったく周囲をしんみりとさせない。
ゾロですらこうなんだ、きっと“麦わら海賊団”は別れの時も明るい空気で包み込んでしまう陽気な集団なのかもしれない。
いつか会ってみたい。
そう思っていると、ペローナがクレイオの所まで降りてきた。
「クレイオ! ゾロとの別れは済んだのか?」
「もう十分。ペローナ、ゾロのことをよろしくね」
「ああ、任せろ」
ゾロもこの一年で変わったが、それはペローナも同じ。
“ホロホロの実”の技がかなり磨かれているし、以前と比べて容姿も大人びている。
「気を付けてね、ペローナ」
「・・・ああ」
ペローナはゾロをシャボンディ諸島に連れていくこと以外にも、海へ出る目的があった。
ミホークがゾロに与えるにしてはしっかりとした船を用意したのもそのためだ。
「貴方に神のご加護がありますように」
クレイオはそう言って、ペローナの左肩を見た。
そこには、ゲッコー・モリアの技“ブリックバット”を模したタトゥーが彫られている。
幼少期からずっと過ごしたスリラーバーグを離れて二年、ペローナは一つの決意を秘めていた。
「ロロノアを送り届けたら、私はスリラーバーグを目指す。モリア様が生きていたら、そこにいるかもしれねェからな」
ペローナはクレイオの方を見て、にっこりと笑った。
「モリア様は私にとって父親同然なんだ」
生きているにしろ、死んでいるにしろ、この目で確かめるまでは誰の言葉も信じない。
そして、生きているなら会いたいと思うようになったのは、クレイオとミホークを見ていたからだ。
「いつかクレイオの島にも行くぞ」
「それは楽しみ。ぜひホロウで子ども達と遊んであげて」
辺鄙な島で出会い、友人となったペローナとクレイオ。
この先、どのような未来が待っていようとも、二人の友情はきっと変わらないだろう。